麻痺、マヒ、まひ? 脳出血で倒れて救急車で緊急搬送。

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脳出血が起こった

「おはよう」

5月、さわやかな朝、私は動物病院に出勤して来た。それから診察室を通ったとき、「なんだか頭が痛い?立ってられない。」と思ったとたん、フラッ、バタン。

そして倒れてしばらく意識はあって、「救急車を呼ぶことと、猫を私の家から保護すること」を頼んで意識はわからなくなった。

そのあとは意識が懸濁してる日が続き、記憶もその頃のことを思い出せないのである。倒れて3週間経った日に、意識がはっきりして、ベットから起き上がれない自分に気がついた。

病院の病室

脳出血が起こり、右手足が麻痺していると先生に説明を受けた。そのときに先生の子供さんが獣医師だと話もされたが、そんなことを考える余裕はなかったのである。まず、私は車椅子でないと移動ができない状況だと理解した。その事実にショックを受けていたが、しばらくして、ごはんが運ばれてきたので食べることになった。

(マズい、これはマズいぞ。右手が使えない私は右利き。箸が使えない!)

そこでさらなるショックである。その日はスプーンでご飯を食べたが、次の日から左手で箸を使って食べ始めた。私は箸を左手で本能で使いはじめたので、いつどうやって練習したとかは、まったく不明である。

リハビリ

リハビリに使う平行棒

リハビリを入院のいつから始めたかは、わからない。

1日のある時間が来ると、車椅子に乗せられ、ほかの患者と一緒にエレベーターでリハビリ室に運ばれた。頭はボーっとしてるけれど、そんな中「足を動かして!」「1、2、1、2」とからだを動かさないとならない。おまけに休むことは最小限である。「地獄だ…」。泣きそうになりながらも、リハビリが終了してベッドに戻される。

しばらくして、また車椅子で運ばれて再びリハビリ室へ。今度は座ったまま、言葉のリハビリである。うまくしゃべることができないうえに、私は眠くて仕方がない。すると起こされるのか、机がトントンと叩かれる。また何度も言わされるが、やっぱり言えないのである。麻痺になった私は言葉を使うこともできなくて、失語症という状況である。これも地獄である。また泣きそうになりながら、終了してベッドに戻される。ほぼ毎日、繰り返されるのである。

リハビリを担当する理学療法士、言語聴覚士は鬼👹であるが、当たり前である。なぜなら早い時期にリハビリを始めることが回復につながるので、私のためになるのである。今でも感謝してるのであるが、反面、もう少し患者さんに優しくしても良かったんじゃないかなと思っている。

患者さん

入院が長くなると退屈で仕方がなくて、とにかく近くにいる人に話しかけてくる。とくにおばさんが多い。しかし私は話したくないので静かにしているが、ものすごい勢いで話してくるのである。

そのうち仕方なく私が話そうとして、たどたどしい言葉になり、私が失語症であるとわかってしまう。すると意地が悪い表情になり「あらあ、かわいそうに」と蔑んだ目つきで私を見るのであった。それ以降、私は口がきけないからと、相手にされることはなかったので平和であった。ちなみにおばさんのマシンガントークに嫌気がさしたのか、部屋を変わる人が結構いたみたいである。

看護師

意識がない頃、一瞬だけ目覚めたことがあった。すると私の側には、すごく怒る看護師がいた。どうも私は鼻カテーテルを何度も抜いてしまう入院患者のようであった。私は働かない頭でエリザベスカラーでもつければいいのにと、バカなことを思いつつ記憶が飛んだ。

そのあと目覚めたわけだが、はじめの頃、看護師のよそよそしい感じであった。どうも私はいわゆる問題児と思われていたようだ。それから2〜3日たつと、私がおとなしく良い子にしてるので、看護師も、とても優しくよくしてくれた。今思うと、本当に申し訳ない。

優しい看護師さん

ちなみに動物だとカテーテル、留置を抜かれても、入れるのが大変でも相手を恨んだりしたことはない。心のどこかで抜くのが動物だと思っているからで、入れるのに苦労しても普通に仕事だと怒ることなく入れ直していた。相手が人間だと違うんだなあと思い出す。

退院とリハビリ病院への移動

介護タクシー

退院とリハビリへの転院の日が来た。

「お世話になりました」

看護師さんも温かく見送ってくれたが、私のからだは見事な壊れっぷりのままである。このまま車椅子で私を車に積んで、次はリハビリ病院に運んでいくのである。

途中でリハビリ病院へ行く前に動物病院によることにした。理由は、私の一番大切な猫に会うのが目的である。突然、私がいなくなって心配してるだろうなあと思いつつ、会えるのを楽しみにしながら、車は動物病院へと近づいて行く。

着いた!車椅子で私を動物病院へ連れて行ってもらった。

すぐに私は名前を呼んだ。しかし…大切な猫は顔をそっぽむけて、目は合わせてくれないのだ。ほかの犬、猫は私を覚えてて、歓迎しているのにだ。そんなこと説明しなくても、理由はわかってる。私が自分の前から、突然、いなくなったからだ。

彼女は寂しい、つらいを乗り越えて、ひたすら怒っていた。

ごめんね…。

猫の後ろ姿

しばらくしてリハビリ病院へ行く時間が来た。次に会えるのはいつだろう。必ず会いに来るから、猫の背中に言うと私は車へ戻った。

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